953 Paris-Dakar Rally 1988


953は一見普通の 911のようですが、開発段階の四輪駆動システムが組み込まれ、911の4輪駆動化の有用性を検証するための実験的な車両でありました。そのため 953は 911 4×4 と呼ばれることもあります。搭載される 3.2リッターエンジンは300馬力程度に強化され、944から流用したプロペラシャフトを組み込んで四輪駆動化されました。ドア、ルーフ、フロントフェンダーなどにポリカーボネートを採用するなど徹底した軽量化により、4輪駆動化による重量増を相殺し、車重は 1,240Kg程度にまで抑えらていました。無給油で走破できる距離を延ばすため、フロントの120ℓの燃料タンクに加え、150ℓの燃料タンクがシート後方に増設されています。

ポルシェは1984年のパリ・ダカール・ラリーに3台の 953で初参戦し、優勝を記録します。4年後、1988年のパリ・ダカール・ラリーに現役F1ドライバーがステアリングを握る2台の 953が Foltène racingから参戦しました。F1パイロットの Jean-Pierre Jabouille 、Jacques Laffite らは、F1のオフ・シーズン中に開催されるパリ・ダカール・ラリーへの参戦を計画し、ポルシェに953の貸し出しを申し入れました。ポルシェはこの申し出を断りましたが、当時ポルシェの F1プロジェクトに参加し、TAGターボ・エンジンの開発に関与していた同じくF1パイロットのアラン・プロストを通じて再度ポルシェと交渉し、2台の 953を借りることに成功しました。ポルシェは、1984年に優勝したメッジの車両と6位に入賞したイクスの車両を完全にオーバーホールし、レギュレーションに合わせ灯火類をアップ・デートするとともに、リヤのフェンダーを拡幅し、スポンサー・カラーのグリーンに塗装して送り出しています。

この作品は、タミヤ(Tamiya)1/24のポルシェ911ターボを改造したものです。前後バンパーやフェンダー、内装を中心に手を加え、市販のデカールを使用して 1988年にパリ・ダカール・ ラリーに参戦した Jacques Laffite, Pierre Landereau 組の車両に仕上げてみました。現役F1ドライバーの砂漠での走りが注目されましたが、体調不良で2台とも早々にリタイヤしてしまい、結果を残すことはできませんでした。